「ぼくはアフリカには行ったことがありません」
「明日は晴れないの?」
という否定文・否定疑問文のように、否定の表現はあらゆる文章によく出てきますよね。日本語だと「ない」という言葉を使うことが多いですが、英語の否定表現はたくさんあるんですよ!
not だけじゃないってこと?そうか、never とかもあったわね。no one とかも… それ以外にもあるのかしら?
否定の言葉はいろいろあるよ。英語では否定語をどの位置に置くか、どんな否定語を使うかで意味が違ってくるんだよ。部分否定や二重否定というものもある。実は否定語を使わずに否定の意味を表現することも可能なんだ。さあ、どんなふうにやるのか見てみよう!
否定語の種類と否定の接頭辞
よく使われる否定語は not, never, no
I don’t have time to hang out with you.
訳 私はあなたとつきあう時間がありません。
not の基本的な使い方です。ご存じのように aren’t, doesn’t, haven’t, couldn’t, won’t などいろいろな短縮形がありますよね。
I’ll never forget what he told me.
訳 彼が私に言ったことを決して忘れません。
never は「一度もない」という意味を表します。
There were no pencils in the drawer.
訳 引き出しには鉛筆がなかった。
no は名詞の前について、「全くない」「ひとつもない」ということを表します。数えられる名詞の単数形にも複数形にも使えます。
準否定語 hardly, scarcely, rarely, seldom, few, little
I could hardly understand what the professor advised me.
訳 教授のアドバイスがほとんどわからなかった。
hardly, scarcely は「程度がほとんどない」ことを表します。
I rarely have green tea.
訳 緑茶はめったに飲みません。
rarely, seldom は「頻度がほとんどない」ことを表します。
There were few passengers on the plane.
訳 飛行機にはほとんど乗客がいなかった。
few は「数がほとんどない」、little は「量がほとんどない」ことを表します。
否定の接頭辞 dis, un, in, im, ir, il, non, a
単語の中には以下のように dis, un, in, im, ir, il, non, a などの接頭辞をつけることで元の言葉の反対の意味を表すものがあります。
元の言葉とセットで覚えておくと役に立つでしょう。
接頭辞 | 例 |
dis | disagree「賛成しない」, discourage「落胆させる」 |
un | unlikely「しそうもない」, unbelievable「信じられない」 |
in | inconvenient「不便な」, inaccurate「正確でない」 |
im | impatient「我慢できない」, immature「未熟な」 |
ir | irrational「非合理的な」, irregular「不規則な」 |
il | illegal「違法な」, illiterate「読み書きできない」 |
non | nonsense「無意味な」, nonprofit「非営利の」 |
a | asymmetry「非対称の」, asymptomatic「無症状の」 |
さまざまな否定表現
否定語の注意すべき使い方
I don’t have any questions. / I have no questions.
訳 何も質問はありません。
not ~ any は no で言い換えることができます。any が先に来て not が続く語順は間違いです。必ず not が先で、any が後です。
I don’t think this is right.
訳 これが正しいと思わない。
I think this is not right. とは普通言いません。suppose, expect, seem, imagine などの「思う」ことに関連した動詞でも同様です。
Don’t you have a charger? Yes I do.
訳 充電器は持ってない? 持っています。
「~持ってないの?」と日本語で聞かれたら、「はい、持ってません」「いいえ、持っています」となりますが、英語は違います。「持っている」時は yes で「持っていない」時は no となります。否定疑問文に対する答えはみんな、このようになります。
Have you finished it? Not yet. (No, I haven’t finished it yet.)
訳 終わりましたか?まだです。
前の文と同じ繰り返しにならないように、not だけを残す言い方です。
Do you mind my opening this window? Not at all. (Of course not./No problem.)
訳 窓を開けてもいいですか?どうぞ。
Do you mind ~? は「あなたは気にしますか」という意味なので、not を使った場合は「気にしません」「どうぞしてください」という答えになります。
Take care not to catch a cold.
訳 風邪を引かないように気をつけて。
不定詞の否定は、不定詞の前に not を置きます。
I regret not going to art school.
訳 美術学校へ行かなかったことを後悔しています。
動名詞の否定は、動名詞の前に not を置きます。
My boss is always not busy. / My boss is not always busy.
訳 私の上司はいつも忙しくない。/ 私の上司はいつも忙しいわけではない。
前者の文は「いつも忙しくない」という全否定です。後者の文は「いつも忙しいわけではない(忙しくない時もある)」という部分否定になります。not の後に always, all, every, entirely, completely などの「全体・完全」を表す言葉が来ると、「全部ではない・完全ではない」という部分否定の意味になります。
I disagree with none of them.
訳 私はそれらのどれにも同意しません。
none は「どれも~ない」という意味になります。
否定語を使った慣用表現
We cannot live without money.
訳 生きるにはお金が必要だ。
cannot ~ without は「~なしでは~できない」「~するには必ず~が必要だ」という意味になります。ひとつの文の中で否定する言葉が2つ使われることを二重否定と言います。マイナスのマイナスがプラスになり、結果的に肯定の意味を表します。
I cannot help laughing at his joke.
訳 私は彼の冗談に笑わずにはいられない。
cannot help ~ing は「~せずにはいられない」という意味になります。
We cannot praise you too much.
訳 私たちはあなたをどんなにほめてもほめ足りない。
cannot ~ too ~ は「~しすぎることはできない」という意味になります。
He owns not only a car, but also a motorbike.
訳 彼は車だけでなくバイクも持っています。
not only ~ but also ~ は「~だけでなく~も」という意味になります。
The deadline is not today but tomorrow.
訳 締め切りは今日ではなく明日です。
not ~ but ~ は「~ではなく~」という意味になります。
I can’t go to bed until I finish this homework.
訳 この宿題を終えないと眠れない。
not ~ until は「~まで~しない」「~してはじめて~する」という意味になります。
It was not long before we made a decision.
訳 間もなく私たちは決断した。
it is not long before は「~の前は長くない」という意味から「まもなく」ということを表します。
He seems to do nothing but sleep.
訳 彼は寝てばかりに見える。
do nothing but は「~以外は何もしない」という意味です。
We have no choice but to stay at home.
訳 私たちは家にいる以外にない。
have no choice but to ~ は「~する以外に選択肢はない」という意味です。
You need to do so because you are no longer a child.
訳 あなたはもう子供ではないのでそうする必要があります。
no longer は「もはや~でない」という意味になります。
He had hardly gotten out of the car when it began to rain.
訳 彼が車から降りるとすぐに雨が降り始めた。
hardly ~ when ~ は直訳すると「~の時、ほとんど~していない」という意味です。そこから「~するとすぐ~した」という意味になります。
否定語を使わないで否定の意味を表す方法
Take it seriously. It is far from a joke.
訳 真面目に受け取って。それは決して冗談ではない。
far from は「決して~ではない」という意味になります。
Our newspaper is free from bias.
訳 私たちの新聞は偏見がない。
free from は「~から自由」「~がない」という意味になります。
The priest is above telling lies.
訳 僧侶は嘘をつくような人ではない。
above は「超えている」ことを表します。
That is going beyond my imagination.
訳 それは私の想像を超えています。
beyond もまた「超えている」「~できない」ことを表します。
I’m sorry. I failed to call you yesterday.
訳 申し訳ありません。昨日電話をし損ねました。
fail to は「~し損じる」という意味です。
It’s too good to eat.
訳 食べるのがもったいないです。(良すぎて食べられない)
too ~ to ~ は「~するには~すぎる」という意味です。
He is the last man to be late.
訳 彼は最も遅刻などしなさそうな人だ。
the last man(person)to は「~する最後の人」という意味です。
豆知識
こんな表現、知ってましたか?
yes, no をかなりカジュアルにした言い方に、yup, nope があります
— Lovely (@lovelyenglish3) July 14, 2020
「そだね」「いや」という感じです
よく使われるスラングです
まとめ
たとえば何かの操作方法の説明の中で、not の有無で全く意味が変わってしまいますよね。
「右に回してください」と「右には回さないでください」では180度内容が変わります。
このように否定表現は文章の中で重要な役割を果たしているんです。多様な否定表現の意味を正しくつかめるようにしていきましょう!
さらに勉強したい人のために、よく知られている古典的名著を紹介します。この本の「否定」という項目に、否定の意味を表す構文がいろいろ載っています。堅い感じの例文が多い印象ですが、文法的にしっかりした正式な英文を学ぶためにはかなり有効な本です。著者の一人である伊藤和夫先生は駿台予備校の講師だった人です。
