- not, never, no one など、英語の否定表現は多様です。
- この記事を読めば、英語の否定の仕方やその慣用表現が学べます。
- 否定語の位置や種類で意味が違ってきます。部分否定や二重否定もあります。
否定語と否定の接頭辞
not, never, no
not, never, no は、否定語です。
I don’t have time to hang out with you.
訳 私は、あなたとつきあう時間がありません。
not の基本的な使い方です。
aren’t, doesn’t, haven’t, couldn’t, won’t など短縮形(おもに会話で)があります。
Cambridge Dictionary で not を調べてみます。
used to form a negative phrase after verbs like “be”, “can”, “have”, “will”, “must”, etc., usually used in the short form “n’t” in speech:
Cambridge Dictionary
I’ll never forget what he told me.
訳 彼が私に言ったことを決して忘れません。
never は「一度もない」。
There were no pencils in the drawer.
訳 引き出しには鉛筆がなかった。
no は名詞の前につき、「まったくない」「一つもない」を表します。
数えられる名詞の単数形にも複数形にも使えます。
hardly, scarcely, rarely, seldom, few, little
これらは準否定語といわれます。
I could hardly understand what the professor advised me.
訳 教授のアドバイスがほとんどわからなかった。
hardly, scarcely は「程度がほとんどない」。
I rarely have green tea.
訳 緑茶はめったに飲みません。
rarely, seldom は「頻度がほとんどない」。
There were few passengers on the plane.
訳 飛行機にはほとんど乗客がいなかった。
few は「数がほとんどない」、little は「量がほとんどない」。
ちなみに、この記事でも few, little について詳しく説明しています。
dis, un, in, im, ir, il, non, a
The group tried unsuccessfully to reproduce tickets for the premiere.
訳 そのグループは、初演のチケットを複製しようとしたが失敗した。
un+successfully の例です。
単語のなかには、次のように un, dis, in, im, ir, il, non, a などの接頭辞をつけ、もとの言葉の反対の意味を表すものがあります。
もとの言葉とセットで覚えると役に立ちます。
接頭辞 | 例 |
un | unlikely「しそうもない」, unbelievable「信じられない」 |
dis | disagree「賛成しない」, discourage「落胆させる」 |
in | inconvenient「不便な」, inaccurate「正確でない」 |
im | impatient「我慢できない」, immature「未熟な」 |
ir | irrational「非合理的な」, irregular「不規則な」 |
il | illegal「違法な」, illiterate「読み書きできない」 |
non | nonsense「無意味な」, nonprofit「非営利の」 |
a | asymmetry「非対称の」, asymptomatic「無症状の」 |
注意したい否定表現
not any の言い換え
I don’t have any questions. / I have no questions.
訳 何も質問はありません。
not ~ any は no で言い換えられます。
any が先に来て not が続く語順は間違いです。必ず not が先で、any が後です。
否定語の位置の基本
I don’t think this is right.
訳 これが正しいと思わない。
I think this is not right. とは普通言いません。
suppose, expect, seem, imagine などの「思う」に関連した動詞でも同様です。
否定疑問文への答え方
Don’t you have a charger?
Yes, I do.
訳 充電器は持ってない? 持っています。
日本語で「~持ってないの?」と聞かれたら、「はい、持ってません」「いいえ、持っています」となります。
英語は違います。「持っている」ときは yes で「持っていない」ときは no となります。
否定疑問文に対する答えはみんな、このようになります。
反復を避ける言い方
Have you finished it?
Not yet. (No, I haven’t finished yet.)
訳 終わりましたか?まだです。
前の文と同じ繰り返しを避け、not だけ残す言い方です。
Do you mind ~? への答え方
Do you mind my opening this window?
Not at all. (Of course not./No problem.)
訳 窓を開けてもいいですか?どうぞ。
Do you mind ~? は「あなたは気にしますか」の意味です。
not を使った場合は「気にしません」「どうぞしてください」の答えとなります。
準動詞の否定・部分否定
不定詞の否定形
Take care not to catch a cold.
訳 風邪を引かないように気をつけて。
不定詞の否定は、不定詞の前に not 。
動名詞の否定形
I regret not having gone to art school.
訳 美術学校へ行かなかったことを後悔しています。
動名詞の否定は、動名詞の前に not 。この例は完了動名詞の否定。
全否定と部分否定
My boss is always not busy.
My boss is not always busy.
訳 私の上司はいつも忙しくない。
私の上司はいつも忙しいわけではない。
- 前者の文は「いつも忙しくない」全否定です。
- 後者の文は「いつも忙しいわけではない(忙しくない時もある)」部分否定です。
not の後に always, all, every, entirely, completely などの「全体・完全」を表す言葉が来ると、「全部ではない・完全ではない」部分否定の意味になります。
ちなみに、all の使い方はこの記事にまとめました。
none の使い方
I agree with none of them.
訳 私はそれらのどれにも同意しません。
none は「どれも~ない」。
否定表現の発展
否定語が文頭に出る倒置
否定語が文頭に出たときに、倒置が起きることがあります。
例文は次の記事にまとめました。
否定語を使った慣用表現
We cannot live without money.
訳 生きるにはお金が必要だ。
cannot ~ without は「~なしでは~できない」「~するには必ず~が必要だ」の意味。
一つの文のなかで否定する言葉が2つ使われることを二重否定といいます。
マイナスのマイナスがプラスになり、結果的に肯定の意味を表します。
I cannot help laughing at his joke.
訳 彼の冗談は笑わずにはいられない。
cannot help ~ing は「~せずにはいられない」。
We cannot praise you too much.
訳 私たちは、あなたをどんなにほめてもほめ足りない。
cannot ~ too ~ は「~しすぎることはできない」。
He owns not only a car but also a motorbike.
訳 彼は車だけでなくバイクも持っています。
not only ~ but also ~ は「~だけでなく~も」。
The deadline is not today but tomorrow.
訳 締め切りは今日ではなく明日です。
not ~ but ~ は「~ではなく~」。
I can’t go to bed until I finish this homework.
訳 この宿題を終えないと眠れない。
not ~ until は「~まで~しない」「~してはじめて~する」。
It was not long before we made a decision.
訳 間もなく私たちは決断した。
it is not long before は「~の前は長くない」の意味から「まもなく」を表します。
He seems to do nothing but sleep.
訳 彼は寝てばかりに見える。
do nothing but は「~以外は何もしない」。
We have no choice but to stay at home.
訳 私たちは家にいる以外にない。
have no choice but to ~ は「~する以外に選択肢はない」。
You need to do so because you are no longer a child.
訳 あなたはもう子供ではないので、そうする必要があります。
no longer は「もはや~でない」。
He had hardly gotten out of the car when it began to rain.
訳 彼が車から降りると、すぐに雨が降り始めた。
hardly ~ when ~ は直訳すると「~の時、ほとんど~していない」。そこから「~するとすぐ~した」。
否定語なしの否定の表現
Take it seriously. It is far from a joke.
訳 真面目に受け取って。それは決して冗談ではない。
far from は「決して~ではない」。
Our newspaper is free from bias.
訳 私たちの新聞は偏見がない。
free from は「~から自由」「~がない」。
The priest is above telling lies.
訳 僧侶は嘘をつくような人ではない。
above は「超えている」。
That is going beyond my imagination.
訳 それは私の想像を超えています。
beyond もまた「超えている」「~できない」。
I’m sorry. I failed to call you yesterday.
訳 申し訳ありません。昨日電話をし損ねました。
fail to は「~し損じる」。
It’s too good to eat.
訳 食べるのがもったいないです。(良すぎて食べられない)
too ~ to ~ は「~するには~すぎる」。
He is the last man to be late.
訳 彼は最も遅刻などしなさそうな人だ。
the last man(person)to は「~する最後の人」。
否定語なしの欠如の表現
I may not believe him because of his lack of common sense.
訳 彼には常識がないので、私は彼を信じないかもしれない。
The absence of people in the snowy city enhanced the quiet atmosphere.
訳 雪の街には人がいないので、静かな雰囲気がさらに増しました。
豆知識
こんな表現、知ってましたか?
yes, no をかなりカジュアルにした言い方に、yup, nope があります。
「そだね」「いや」の感じです。よく使われるスラングです。
「危うくしそうになる」の言い方。
He almost threw the letter away.
意味 彼は危うくその手紙を捨てそうになった。
この almost は、結局は手紙を捨てて「いない」ことを表します。
nearly も同じ意味で使えます。
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まとめ
たとえば、何かの機器の操作方法を説明するとき、not の有無で意味が逆になります。
「右に回してください」と「右には回さないでください」では180度内容が違いますよね。
このように、否定表現は重要な役割を果たします。意味を正しくつかみましょう!
否定表現の詳細な理解を望む方は、ことばとスコープ 2: 否定表現という本が役に立ちます。
もう少し気楽に読めるものとしては、有名な古典的名著があります。この本の「否定」という項目に、否定の意味を表す構文が載っています。堅い感じの例文が多い印象ですが、正式な英文を学べる本です。著者の一人である伊藤和夫先生は駿台予備校の有名講師だった人です。