- 代名詞の中でも it はさまざまな使い方ができる便利な単語です。あらゆる文脈で登場しますので、インプットだけでなくアウトプットもできるように十分に慣れておく必要があります。
- この記事では it を使った構文について理解を深めることができます。形式主語・形式目的語、時間・天候・距離・明暗の表現、かかる時間や費用の表現、強調構文などが出てきます。
- 形式主語と強調構文の区別についても説明します。正確に意味をつかめるようにしましょう。
it の構文とは
it の最も普通の使い方は、すでに出てきた語・句・節を指して「それ」と言う場合です。
ここでは、その用い方とは異なる場合、つまり形式主語や形式目的語として使われたり、時間・天候・距離・明暗を表す時に使われたり、かかる時間や費用を表したり、強調構文を組み立てたりする時の例文を見ていきましょう。
どれも文法的に重要な事柄ですので、しっかり理解していきましょう!
形式主語の it の使い方
不定詞の句(まれに動名詞の句)や that 節(wh 節のこともある)が主語として使われる場合、主語の位置に it を置き、真の主語を後ろに置くことがよくあります。これを形式主語と言います。
It’s necessary for us to work together.
訳 私たちにとって協力することは必要です。(私たちが協力することは必要です)
to 不定詞の前に for ~ を加えると「~にとって」という意味になります。
It was kind of him to give me a hand in such a situation.
訳 そんな状況で私に手を差し伸べてくれて彼は親切でした。
前述の for が of になる場合があります。このように kind が him の性質を表しているような場合は of になります。
It follows that that conclusion is true.
訳 したがって、その結論は真実です。
It seems that this process is essential to success.
訳 このプロセスは成功に不可欠のようです。
It occurred to me that something good was happening.
訳 何か良いことが起こっていることに気づきました。
It often happens that trains don’t arrive on time here in the U.S.
訳 ここアメリカでは電車が時間通りに到着しないことがよくあります。
It’s no wonder that she can dance well.
訳 彼女が上手に踊れるのも不思議ではありません。
It is regrettable that a lot of mistakes was found in your essay.
訳 あなたのエッセイに多くの間違いが見つかったのは残念です。
It goes without saying that such reports are not suitable for publication.
訳 言うまでもなく、そのような報告は公表に適していない。
It’s no use trying to persuade him.
訳 彼を説得しようとしても無駄です。
it が動名詞を受ける場合です。
It doesn’t matter whether you stay there or not.
訳 あなたがそこに留まるかどうかは関係ありません。
it が wh 節を受ける場合です。It makes no difference whether ~ と言い換えることもできます。
形式目的語の it の使い方
第五文型 SVOC で、目的語として不定詞の句や that 節が使われる時は、it を形式的に目的語の位置に置いて、真の目的語を補語の後ろに置きます。これを形式目的語と言います。
I think it a pity that we wasted a lot of time.
訳 私たちが多くの時間を無駄にしたのは残念だと思います。
He found it easy to understand what local people said.
訳 彼は地元の人々が言ったことを理解するのが簡単なことに気づきました。
Do you take it for granted that she loves you?
訳 彼女があなたを愛していることを当たり前だと思っていますか?
Please see to it that this document will be completed by the end of this month.
訳 このドキュメントは今月末までに完成するように取り計らってください。
これは第五文型ではありませんが、前置詞の後に接続詞 that が来れないため、it を入れています。
時間・天候・距離・明暗を表す時の it
時間・天候・距離・明暗を表したい時は、特に意味を持たない it を主語にして文を組み立てます。
It is twenty years since we met at the university.
訳 私たちが大学で出会ってから20年になります。
It was not long before she arrived here.
訳 彼女がここに到着するのにそう長くはかからなかった。
It’s so sunny that everything looks shining.
訳 とても晴れているので、すべてが輝いているように見えます。
It was two kilometers from my office.
訳 私のオフィスから2キロです。
We have to get back to the hotel because it’s getting dark.
訳 暗くなってきたのでホテルに戻らなければなりません。
How’s it going?
訳 調子はどうですか?
これは漠然とした状況を表す it です。
かかる時間・費用を表す時の it
何かをするのに要した時間や費用を表したい時は、以下の SVOO の構文を使うことができます。
It took me a long time to assemble the bookshelf.
訳 本棚を組み立てるのに長い時間がかかりました。
It cost me twenty dollars to buy books online.
訳 オンラインで本を買うのに20ドルかかった。
強調構文で用いられる it
it は強調構文を組み立てる時にも使います。that 以下の中の強調したい部分が it is (was)の次に続きます。形式主語と違うところは、that 以下の中の文の一部が前に出てきていることです。形式主語の場合は that 節の中身は完全な形式を備えた文になります。
It is that cake that I have been looking for.
訳 私が探していたのは、そのケーキです。
It was not until the deadline was approaching that he hit on a bright idea.
訳 締め切りが迫ってきてはじめて、彼は良いアイデアを思いついた。
まとめ
英単語の中にはずば抜けて使用頻度の高い、万能ワードみたいなものがあります。
今回取り上げた it はその典型で、いろいろな場面で使うことができます。it の構文を自由自在に使いこなせるまで練習する価値は十分にあります。
ご紹介したように、形式主語や形式目的語はさまざまな言葉と結びついて定型表現のようになっているものも多いです。実際の会話でも使ってみてください。
英語の構文にはさまざまなものがありますが、確かに複雑で難解な構文というものも存在します。京大入試に学ぶ 英語難構文の真髄は、そのような構文について深く極めることができます。
もっと一般向けのものとしては、基本的な英語の構文をコンパクトにまとめた一冊があります。300の英文が12のトピックに無駄なくすっきりとまとめられています。「it の構文」のトピックもあります。著者は駿台の講師歴が長いベテランです。
