今回のテーマ:不定詞・動名詞
- 英文のなかには、必ずと言っていいほど不定詞・動名詞が登場します。
- この記事では、英語の不定詞・動名詞を例文で具体的に説明します。
- とくに不定詞の三用法、構文やイディオムからみた動名詞の使い方を見ます。
不定詞とは何か

準動詞とは
不定詞・動名詞・分詞を準動詞といいます。準動詞は、動詞に他の品詞の働きをさせます。
ここでは、不定詞に焦点を当てます。「to +動詞の原形」を中心としたフレーズです。
ちなみに、分詞構文の基本はこちらの記事に書いてあります。
不定詞の用法
不定詞は文中で、名詞・形容詞・副詞などの働きをします。
共通するニュアンスは、to が持つ「指し示す」イメージです。前置詞の to と同じです。
ちなみに、be to 不定詞 の表現もこの to のイメージが関係しています。
不定詞の名詞的用法
不定詞のフレーズが、主語・目的語・補語になることがあります。名詞的用法と言います。
訳し方は「~すること」「~であること」ですが、他にも工夫の余地はあります。
では、具体的に不定詞の使われ方を見ましょう。
be 動詞の補語
His dream is to travel the world by 30.
訳 彼の夢は、30歳までに世界を旅することです。
不定詞は be 動詞の補語。
動詞の目的語
You need to see a dentist this afternoon.
訳 あなたは今日の午後に、歯科医に行く必要があります。
不定詞は動詞の目的語。
真の主語
It was easy for me to make him believe it.
訳 彼にそれを信じさせるのは簡単でした。
不定詞が仮主語の構文で、真の主語になっています。
真の目的語
They found it inevitable to backorder them.
訳 彼らは、それらを取り寄せないわけにはいかないと気づきました。
不定詞が仮目的語の構文で、真の目的語になっています。
it の構文については、こちらの記事をどうぞ。
不定詞の形容詞的用法
不定詞のフレーズが、直前の名詞を修飾します。
一般の名詞 + to ~
Nara Park is the place to go.
訳 奈良公園は行くべき場所です。
It’s a table to go with the tatami room.
訳 お座敷に合うテーブルです。
It has a few stickers to remove before the sale.
訳 それには、売る前に剥がすべきシールがいくつかついている。
way to ~
This is the best way to master English.
訳 これは、英語をマスターする最良の方法です。
They found ways to avoid sunlight on the coast.
訳 彼らは海岸で日光を避ける方法を見つけた。
anyone to ~
Do you know anyone to assist him financially?
訳 彼を経済的に支援してくれる人を、知っていますか?
ability to ~
If only I have the ability to speak French.
訳 フランス語を話す能力さえあればなあ。
The ability to keep a diary is necessary for this class.
訳 このクラスでは、日記をつける能力が必要です。
the first man to ~
He is the first man to discover the truth.
訳 彼は真実を発見した最初の人です。
その他のよくある言い方
She has a lot of decisions to make.
訳 彼女には決断すべきことがたくさんある。
Do you have any plans to travel now?
訳 これから旅行に行く予定はありますか?
He speak out reasons to believe the article.
訳 彼はその記事を信じる理由を口にした。
I don’t think there is any need to change a member.
訳 メンバーを変える必要はないと思う。
同格の観点から見た不定詞は、こちらの記事をどうぞ。
不定詞の副詞的用法
不定詞のフレーズが、名詞以外の語句や文を修飾します。
表す意味は、目的・感情の原因・判断の根拠・結果・条件などです。
目的
訳し方は、「~するために」が基本です。
He studies every day to keep his promise.
訳 彼は約束を守るために、毎日勉強しています。
She went to the library to research statistics.
訳 彼女は統計を調べるために、図書館に行きました。
Restrict carbohydrates in order to get slim.
訳 スリムになるために、炭水化物を制限して。
in order to という形もあります。
They gathered so as to celebrate her promotion.
訳 彼らは彼女の昇進を祝うために集まった。
so as to という形もあります。フォーマルな言い方。
感情の原因
訳し方は「~して、・・・という感情になった」が基本です。
She was relieved to see her son sleeping well.
訳 息子がぐっすり眠っているのを見て、彼女は安心した。
Are you sad to have failed in your business?
訳 ビジネスに失敗して、悲しい気持ちですか?
I’m sorry to trouble you, but may I have another one?
訳 ご迷惑をおかけしますが、おかわりしてもよろしいですか?
My friends were surprised to hear that I’d passed.
訳 私が合格したことを聞いて、仲間は驚いていました。
判断の根拠
人物を評価する形容詞や、must be ~ などの表現の根拠を示します。
訳し方は「~するとは」「~するなんて」が基本です。
He is so clever to answer at once.
訳 すぐに答えるとは、彼はとても賢い。
How kind of you to give me more chances.
訳 私にもっとチャンスを与えてくれるなんて、あなたはなんて親切なんでしょう。
You must be famous to be welcomed everywhere.
訳 どこでも歓迎されるなんて、あなたは有名なんでしょうね。
I’m sorry, but I think you are rude to say such a word.
訳 申し訳ありませんが、そのような言葉を言うのは失礼だと思います。
結果
結果を表す場合は、表現のパターンが大体決まっています。
「成長して~になった」「意外にも~であった」のパターンです。
He grew up to be so tall.
訳 彼はとても背が高くなるまで育ちました。
She lived to be 97 years old.
訳 彼女は97歳まで生きました。
They crossed the border, never to return.
訳 彼らは国境を越え、二度と戻ってきませんでした。
He searched the hut for his key, only to find nothing.
訳 彼は小屋で鍵を探しましたが、何も見つかりませんでした。
条件
これはまれなケースです。読んで理解できるだけでOKです。
To see him dancing, you will realize how amazing he is.
訳 彼が踊っているのを見れば、彼のすごさが実感できます。
第三文型 SVO と不定詞
SVO の形をとる動詞を使った表現に、不定詞が続くものです。
「誰々に~をしてほしい」「誰々に~するように言う」「誰々に~させる」「誰々が~だと思う」など。
want ~ to
I want you to repeat after me.
訳 復唱してください。
believe ~ to
I believe her to be well qualified.
訳 私は、彼女が十分な資格を持っていると信じている。
allow ~ to
The guard allowed me to go in.
訳 警備員は、私が入ることを許可した。
tell ~ to
The doctor told me not to take a bath.
訳 先生は、お風呂に入らないようにとおっしゃいました。
enable ~ to
The glasses enable me to read small letters.
訳 その眼鏡のおかげで、小さな文字が読めます。
remind ~ to
Those notes remind me to buy paper clips.
訳 そのメモを見れば、私はクリップを買うことを思い出す。
意味上の主語と不定詞
不定詞とその意味上の主語の関係がみられる例文をあげます。
The instructor told us to refer to his book.
訳 講師は、彼の本を参考にするようにと言った。
Her kind words encouraged him to go abroad.
訳 彼女の優しい言葉に励まされ、彼は海外に出ることにした。
It is possible for him to be awarded for writing it.
訳 彼がそれを書いて表彰される可能性はある。
His wife has set aside food for you to eat.
訳 彼の妻はあなたが食べる物を取っておきました。
For them to rest, the cabin was built.
訳 彼らが休息するために小屋が建てられた。
反復を避ける代不定詞
繰り返しは冗長なので、to の後が省略された形です。
You can bring anything with you if you want to.
訳 持っていこうと思えば、何でも持っていける。
You can get paid with real money if you need to.
訳 あなたが必要なら、現金で報酬を得ることができる。
You should obey the rules if you have to.
訳 必要であればルールに従うべきだ。
You should go even though you are not willing to.
訳 たとえ不本意であっても、行くべきだ。
I’ll support whatever I can as long as they intend to.
訳 彼らがそのつもりであるかぎり、私はどんなことでもサポートする。
The tree is being cut much shorter than it used to be.
訳 木は以前よりずっと短く切られている。
省略される部分が be 動詞で始まる場合は、to be となります。
be to 不定詞の表現
ついでに、 be to 不定詞 の表現も確認しましょう。
She was never to live a sad life afterward.
訳 彼女はその後、悲しい人生を送ることはなかった。
be to が運命を表す場合。
The next convention is to be held next year.
訳 次の大会は、来年に開催される予定です。
be to が予定を表す場合。
You are to stay in this room after the injection.
訳 注射を打った後は、この部屋にいてください。
be to が義務や命令を表す場合。
Nothing but bad things were to be seen in the paper.
訳 新聞には悪いことしか書かれていなかった。
否定の内容を表す文で、be to が可能の意味を示す場合。
動名詞とは何か

ここでは、動名詞に焦点を当てます。動名詞は「~ing」の形をした言葉です。
動名詞は、動詞と名詞両方の働きをします。単純形と完了形、能動態と受動態があります。
- 主語・補語・目的語になる点では名詞の性質です。
- 目的語をとる、副詞で修飾される点では動詞の性質です。
能動態 | 受動態 | |
単純形 | asking | being asked |
完了形 | having asked | having been asked |
動名詞をとる動詞の覚え方
動名詞を目的語に取る動詞には、覚え方があります。
受験英語などでは megafeps と言われています。以下の動詞の頭文字をとった言葉です。
- mind ~ing ~することを気にする
- enjoy ~ing ~することを楽しむ
- give up ~ing ~することをあきらめる
- avoid ~ing ~することを避ける
- finish ~ing ~することを終える
- escape ~ing ~することから逃れる
- put off ~ing ~することを延期する
- stop ~ing ~することをやめる
覚え方は megafeps 以外にもバリエーションがあります。興味のある方は調べてください。
動名詞と不定詞の使い分け
動名詞と不定詞は、次のように使い分けます。
- 動名詞は「今、動いている」イメージ
- 不定詞は「未来に向かう」イメージ
stop や remember は、目的語が動名詞か不定詞かで意味が変化します。
He stopped talking when he saw her coming.
彼女が来るのを見て、彼は話をやめた。
「~することをやめる」は stop ~ing 。
He stopped to talk with her by cell phone.
彼は彼女と携帯電話で話そうと思って、立ち止まった。
「~するために立ち止まる」は stop to ~ 。
I remember sitting around the campfire near here.
この近くで、キャンプファイヤーを囲んだことを覚えている。
「過去に~したことを覚えている」は remember ~ing 。
I remember to post this letter this afternoon.
今日の午後、この手紙を投函することを忘れていない。
「未来に~することを覚えている」は remember to ~ 。
後に続くものが不定詞でも動名詞でも、意味が変わらない動詞もあります。
- begin
- continue
- hate
- intend
- like
- love
- prefer
- start
can’t help
I couldn’t help yawning during a boring lecture.
退屈な講義だと、ついあくびが出てしまう。
help には「避ける」という意味があり、can’t help で「~せずにはいられない」になります。
前置詞 to の後の動名詞
前置詞 to の後に ing の形の動名詞をとる表現があります。不定詞を使わないように注意です。
get used (accoustomed) to
You will get used to commuting to work by bike.
訳 自転車での通勤にも、慣れてくるでしょう。
get accustomed to でも同じ意味です。
look forward to
I’m looking forward to hearing from you.
訳 連絡をお待ちしています。
object to
I object to restricting access to the page.
訳 そのページへのアクセスを制限することには反対です。
devote oneself to
She has devoted herself to caring for her patients.
訳 彼女は患者さんのケアに専念しています。
with a view to
Ask the experts with a view to finding a better way.
訳 より良い方法を見つけるために、専門家に質問して。
what do you say to
What do you say to dropping by his house?
訳 彼の家に寄ってみるのはどう?
when it comes to
Choose good books when it comes to learning English.
訳 英語を学ぶことに関して言えば、よい本を選ぶことだ。
to 以外の前置詞の後の動名詞
excuse me for
Excuse me for interrupting.
訳 お話の途中で失礼します。
feel like
I don’t feel like criticizing an opposing candidate.
訳 対立する候補者を批判する気にはなれません。
prevent ~ from
It prevented him from becoming a gambling addict.
訳 彼がギャンブル中毒になるのを、それは防いだ。
come near
He came near being hit by a car on the street.
訳 彼は、危うく通りで車に轢かれるところだった。
be on the verge of
She was on the verge of becoming panic.
訳 彼女は今にもパニックになりそうだった。
there is no ~ing など
there is no
There is no telling a good customer and a bad one.
訳 いいお客さんと悪いお客さんの区別はつけられない。
It is no use
It is no use persuading her to join the team.
訳 彼女をチームに入るように説得しても無駄だ。
その他の構文
be worth
His recent videos are definitely worth watching.
訳 彼の最近のビデオは、絶対に見る価値がある。
have a hard time
I’m having a hard time coming to draw up water.
訳 水を汲みに来るのに苦労しています。
spend ~
He spent fifty years decoding the genome.
訳 彼は50年かけてゲノムを解読した。
意味上の主語と動名詞
Do you mind my listening to the music?
訳 音楽を聴いてもいいですか?
He knows something about Mary going to Minesota.
訳 メアリーがミネソタに行ったことについて、彼は何か知っている。
They argued about the crows messing up the garbage.
訳 カラスがゴミを散らかすことについて、彼らは口論になった。
豆知識
不定詞の否定。
不定詞の to doの否定は not to do だけど、to not do の形もあるようだ。
to never do もあった。
シェイクスピアの「ハムレット」では、 To be or not to be, that is the question. が有名。
My classmates had the remarkable strength to never give up.
私の同級生たちは、決してあきらめない驚くべき強さを持っていた。
動名詞と不定詞のイメージの違いにこだわらなくていい場合。
I liked being alone in a rural village.
訳 私は田舎の村に一人でいるのが好きだった。
この場合、to be alone としても、外国人にとって意味は変わらないようです。
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まとめ
不定詞や動名詞は、きわめて使用頻度が高いです。
あらゆる文型のなかで活躍でき、英語を学ぶときに避けては通れません。
〇〇的用法などの文法用語などは必ずしも覚えなくていいです。
それより、英文を理解し使えることが大事です。
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