今回のテーマ:同格
- 名詞を並べて補足的に説明をつけ足す、または言い換える表現があります。
- この記事では、英語の同格表現を例文で見ていきます。
- 動名詞あるいは不定詞をつなげる場合の使い分けの法則性をよく理解しましょう。
同格とは何か
同格の定義
英語では名詞に相当する語句を並べて、「A=B」の関係を簡潔に示すことがあります。
前の名詞 A を後ろの名詞 B が、説明・言い換えをしているのです。
これを同格(apposition)と言います。
同格の訳し方
日本語に訳す時は、「B という A」「B である A」「A すなわち B」「A つまり B」などが基本です。
いくつかのバリエーションを見ていきましょう。
名詞+名詞
名詞+名詞
名詞を並置して同格を表します。
カンマ、ダッシュ、コロン、セミコロンで区切られる場合もあります。
基本的な例文
Albert, his father, is the first man to climb that mountain.
訳 彼の父であるアルバートは、その山に登った最初の人です。
I read the new book twice, that is, his famous bestseller.
訳 私は新しい本を2回読みました。つまり、彼の有名なベストセラーです。
that is (to say)や namely を使い、「つまり」「すなわち」の意味。
Takoyaki, or Octopus Dumplings, is my favorite food.
訳 たこ焼き、つまりタコだんごは、私の好きな食べ物です。
or は「言い換えれば」。
His personality has two sides, a cheerful side and a depressive side.
訳 彼の性格には、陽気な面と憂鬱な面の2つの面があります。
The holes, it seems, have been made by a mole.
訳 この穴はどうやらモグラが開けたものらしい。
この例は同格ではありません。主語と動詞の挿入です。
I think や I hope なども、このように挿入されることがあります。
人名と役職名の並置
人の名前と役職名が同格の関係になるパターンは、よく見かけます。
人名の前に役職名を持ってくる場合もあります。
Professor Tanaka will be giving a lecture next Sunday.
訳 田中教授は次の日曜日に講演を行う。
Supervisor Jones praised Mr Sato for his dedication to hard work.
訳 ジョーンズ・スーパーバイザーは佐藤氏の勤勉さを称えた。
Factory Manager Henry was absent from yesterday’s meeting.
訳 ヘンリー工場長は昨日のミーティングを欠席した。
I heard the rumor that Sarah, our CEO, will announce the merger.
訳 私たちのCEOのサラが合併を発表するという噂を聞きました。
Michael Lee, the deputy chief technology officer, visited my office.
訳 マイケル・リー副最高技術責任者が私のオフィスを訪れた。
役職名については、こちらの記事にまとめてあります。
代名詞+(代)名詞
名詞だけでなく、代名詞も同格の表現に現れます。
We Japanese tend to keep our promised time.
訳 私たち日本人は、約束した時間を守る傾向があります。
We are all glad to see you again.
訳 私たちは皆、またお会いできてうれしいです。
we と all が同格の関係。
They were in serious trouble themselves.
訳 彼らは彼ら自身、深刻な問題を抱えていました。
they と themselves が同格の関係。
名詞 of 名詞
同格の of が使われることがあります。
H reconsidered his habit of drinking too much.
訳 彼は飲み過ぎの習慣を再考した。
The city of Tokyo is comfortable for me to live in.
訳 東京という街は、私にとって住みやすいです。
The words of “no one” can’t be combined into a single word.
訳 「誰も」という言葉は、一つの言葉にまとめることができない。
名詞+名詞節
名詞+that 節
これは同格の that と呼ばれます。
Do you know the fact that she wants to live in Australia?
訳 彼女がオーストラリアに住みたいと思っている事実を知っていますか?
She heard the news that something wonderful happened to him.
訳 彼に何か素晴らしいことが起きたニュースを、彼女は聞いた。
Your idea that we can’t achieve the goal may be true.
訳 私たちが目標を達成できないというあなたの考えは、本当かもしれません。
I appreciate your suggestion that the meeting should be put off.
訳 会議を延期すべきだというあなたの提案を、高く評価します。
Did you know the rumor that the shop will be renovated?
訳 お店が改装されるという噂をご存知でしたか?
名詞+whether 節
whether 節を使うこともあります。
We discussed the question whether we should believe what he said.
訳 彼の言うことを信じていいのかという問題を、私たちは議論した。
The mystery whether the culprit exists is still unsolved.
訳 犯人が存在するのかどうか、その謎はいまだ解かれていない。
名詞+不定詞
同格を表す不定詞があります。
It’s time to have lunch.
訳 昼食をとる時間です。
I have a plan to visit his office next week.
訳 来週、彼の事務所に行く予定です。
Do you know the best way to recover the data?
訳 データを復元する最良の方法を、あなたは知っていますか?
He made an effort to make people closer and friendly.
訳 彼は人々をより親密で友好的にする努力をしました。
文+名詞
先行する文につけ足す言い方もあります。ダッシュ「―」などを使います。
He left something important in a taxi yesterday–his briefcase.
訳 彼は昨日、タクシーに何か重要なものを置き忘れました-それは彼の書類カバンです。
He won a lottery: a thing that has hardly ever happened to him.
訳 彼は宝くじに当選しました。そんなことは彼にはほとんどなかったことです。
次の文は名詞に文がついている形です。
Compound fracture–what is the definition of this word?
訳 複雑骨折-この言葉の定義は何ですか?
動名詞か不定詞か?
準動詞を使って同格の表現を作るとき、動名詞か不定詞か迷うことがあります。
それにはこのようなな法則性があります。
his habit of drinking too much 動名詞は「事実」「習慣的行為」
his plan to visit his hometown to不定詞は「予定」「やるべきこと」
- habit, idea, difficulty などの単語には、of +動名詞 を同格表現として使います。
- plan, desire のような単語には、to 不定詞を同格表現として使います。
ポイントは、動名詞と不定詞のイメージの違いを理解することですね。
ちなみに、不定詞・動名詞の使い方は次の記事にまとめてあります。
豆知識
「表す、意味する、象徴する」の意味。
This symbol stands for peace.
訳 このマークは平和を表しています。
A stand for B で「A=B(A は B を意味する)」のイメージです。
一語で言うと represent も使えます。
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まとめ
同格にはバリエーションがあります。しかし、基本イメージは「A=B」の一つに決まりです。
何か語句に説明をつけ加える感じで使えます。
内容についての補足、難解な語句の解説、漠然とした語句の明確化など、使い道が多いですね。
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